旅行予約サイトで検索すると、周辺の老舗旅館が1泊2万円〜3万円台をつける中、伊東園ホテル塩原は1泊2食付きで1人あたり8,000円〜1万2,000円前後という驚きの価格帯を維持しています。この破格の料金設定の裏側には、緻密に計算された宿泊ビジネスの合理化が存在します。
業界関係者の分析および現地構造から判明した「安さの決定的な理由」は主に以下の3点です。
第1に、「既存大型宿泊施設の再生(居抜き買収)」です。伊東園ホテルズはバブル期前後に建てられた大型旅館・ホテルを買い取り、過度な豪華改装を行わずに活用することで、莫大な初期投資と減価償却費を極限まで抑えています。
第2に、「サービスオペレーションの徹底したセルフ化」が挙げられます。仲居による部屋案内やお茶出し、夕食の配膳スタッフを配置せず、チェックイン時の自動精算機導入やバイキング形式への一本化によって、人件費を従来の旅館の3分の1以下に圧縮しています。
第3に、「チェーン全体での一括仕入れと定額制アルコール提供」です。全国に約50館を展開するスケールメリットを活かして食材・酒類を大量一括調達しており、看板サービスである「夕食時アルコール飲み放題無料」を低コストで実現しています。手抜きによる安さではなく、無駄を削ぎ落とした合理的な経営戦略の結実といえます。