順風満帆に見えた木村一八のキャリアは、1988年11月に突如として暗転します。当時19歳だった木村は、東京都港区六本木の路上でタクシー運転手に対して激しい暴行を加え、相手に脳挫傷などの重傷を負わせるという傷害事件を起こして逮捕されました。
この事件は世間に凄まじい衝撃を与え、当時未成年だった木村は家庭裁判所送致ののち、少年院送致(初等・中等短期処遇)の処分を受けました。レギュラー番組はすべて降板となり、出演映画はお蔵入りや差し替えを余儀なくされ、芸能界からの事実上の追放状態となります。父・横山やすしが涙ながらに謝罪会見を開いた光景は、昭和から平成へと移り変わる時代の象徴的なニュースとして記憶されています。
少年院を出院後、木村は芸能界復帰を模索しますが、世間の風当たりは冷たく、その後も銃刀法違反容疑での逮捕(後に不起訴処分)など度重なるトラブルに見舞われました。しかし、そうした挫折のどん底で木村を救ったのがVシネマの舞台でした。自らの背負った傷と影をそのまま演技の説得力へと転換できる任侠映画の世界で、彼は泥臭く這い上がり、俳優としての再起を果たしていったのです。