写真植字の全盛期、写研が発行していた『写研 文字コード表』や記号一覧は、印刷に関わるすべての人間にとっての共通言語でした。写研のシステムでは、通常の漢字や仮名が並ぶ主文字盤のほかに、特殊な用途に応じたサブ文字盤(記号盤)が複数用意されていました。
その中でも「BA盤」は、以下のような実用的なシンボルを網羅した極めて使用頻度の高い記号盤でした。
・各種規格マーク:旧JISマーク(BA-90)や安全基準マーク
・地図記号・公共シンボル:郵便局、交番、学校、官公庁マーク
・通信・生活アイコン:電話マーク、ファクス、矢印、各種括弧類
・単位・組版記号:ミリメートル、パーセント、特殊約物
オペレーターは縦横のグリッド(行と列)から瞬時に位置を割り出すため、「BA(盤の種類)+90(位置座標)」という直感的なコード体系を用いていました。熟練の職人になると、文字コード表を見ずとも指先が目的の記号位置へ動いたと言われています。