海外へ渡る親たち:代理母出産が突きつける法と血縁のリアルな境界線

海外へ渡る親たち:代理母出産が突きつける法と血縁のリアルな境界線

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無事に子どもを連れて帰国できたとしても、日本の法制度は冷厳な現実を突きつける。現行の民法(親子関係規定)の解釈において、日本の法曹界は明治以来の「出産した女性を母とする」原則を墨守しているためだ。

この解釈を決定づけたのが、2007年の最高裁判所判例である。タレントの向井亜紀氏夫妻が米国ネバダ州で代理母出産によって授かった双子について、現地裁判所が認めた出生証明書をもとに日本の自治体へ出生届を提出したものの、最高裁は受理を認めない決定を下した。遺伝学的に血がつながっていようとも、日本法上は「生みの親=他人」とみなされる構造が浮き彫りとなった。

現在でも、日本国内で実親子関係を法的に成立させるには、夫が認知した上で、依頼母が特別養子縁組や普通養子縁組の手続きを踏む迂回策をとらざるを得ない。法的な空白は、戸籍謄本の記載や医療同意権、万が一の相続問題など、子どもの将来にわたる法的安定性を揺るがし続けている。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。