では、世の中に本当の意味での短時間睡眠者は存在しないのだろうか。答えは「存在するが、きわめて稀である」だ。その鍵を握るのが、2000年代以降の研究で特定されたDEC2遺伝子(p.Pro385Arg変異)をはじめとする特殊な遺伝的変異である。
遺伝的な背景を持つ真のショートスリーパーは、人口のわずか1%未満とされる。彼らは5時間未満の睡眠でも細胞修復や疲労回復が完璧に行われる特殊な生体メカニズムを備えている。短時間で通常の人と同等以上の深い睡眠(ノンレム睡眠)を凝縮して摂ることができるため、日中のパフォーマンス低下や長期的リスクを伴わない。つまり、努力や根性、訓練によって後天的にこの体質を獲得することは、遺伝子の構造上不可能なのだ。