異変は前触れもなく訪れた。胸の圧迫感と経験したことのない酷い痛みが身体を襲い、急遽医療機関を受診。下された診断は「急性心筋炎」だった。心臓の筋肉にウイルス感染などが原因で炎症が起き、最悪の場合は心不全や心停止を引き起こす重篤な疾患だ。
「明日どうなるか分からない」。ICU(集中治療室)のベッドでチューブに繋がれながら、彼は死の恐怖と直接向き合うことになった。呼吸することすら困難な状況下、医師からの説明を聞く家族の姿が視界の隅に映る。数日前までドラマの現場で走っていた男が、一転して生命の危機に立たされたのだ。