患者や家族が最も直面する現実が、病気の根治性を示す生存率です。前提として、手術の対象となる病名によって予後は大きく異なります。十二指腸乳頭部癌や胆管癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の悪性転化などでは比較的良好な経過をたどる事例も多く、乳頭部癌の5年生存率は50%〜60%以上に達します。
一方で、難治癌の代表格とされる膵頭部癌における膵頭十二指腸切除術の生存率は、腫瘍の進行度(ステージ)と密接に連動しています。かつては切除を行っても5年生存率が15〜20%前後と厳しい現実が存在しましたが、近年は治療戦略が刷新されました。
現在では、術前化学療法(ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法やFOLFIRINOXなど)と、切除後のS-1(エスワン)による術後補助化学療法を組み合わせることが標準治療として確立されています。臨床試験の追跡データにおいて、肉眼的な完全切除(R0切除)を達成し、所定の抗がん剤治療を完遂できたグループでは、5年全生存率が約40%前後にまで改善する報告が相次いでいます。手術単独ではなく、強力な薬物療法と組み合わせた「集学的治療」をやり遂げられる体力を維持することが、長期生存の決定打となります。