インターネットやSNSの広まりによって、美山かやぶきの里に対するある種の「誤解」や「認識のズレ」が生まれています。最も是正すべき盲点は、ここが入場ゲートを設けた観光テーマパークではなく、美山かやぶきの里 住民 現在の暮らしが営まれている生活空間であるという事実です。
集落内の路地を歩けば、住民の生活用軽トラックが往来し、庭先では農作業が行われています。近年、一部の観光客による「民家の敷地や畑への無断立ち入り」「窓の隙間から家屋内を覗き込む行為」「洗濯物が写り込む至近距離での無断撮影」「早朝や夜間の大声での会話」「ドローンの無許可飛行」といったマナー違反が住民生活を脅かす事態となりました。
伝統的建造物群保存地区としての美しさを保ち続ける裏には、住民が組織する保存会による「屋根の葺き替え」「防火点検」「草刈り」といった計り知れない共同体作業(いわゆる「結(ゆい)」の精神)が存在します。茅葺き屋根の維持には数千万円単位の費用と膨大な茅(ススキ)の確保、そして職人の高度な技術が必要です。訪れる側は「住民のプライベートな日常を垣間見せてもらっている」という敬意と心理的バウンダリーを保つ姿勢が何より求められます。