映画『ビリギャル』の製作発表時、メディア関係者とファンの双方が息を呑んだのは、公開されたビジュアルの破壊力でした。黒髪で可憐な少女像の代名詞だった有村架純が、眉まで脱色したハイトーンの金髪をなびかせ、濃いアイラインにピンクの付け爪、露出度の高いミニスカートで仁王立ちする姿――いわゆる「金髪ギャル画像」は、瞬く間にSNSやネットニュースのトップを席巻しました。
撮影当時、有村架純は21歳から22歳を迎える節目の時期(1993年2月13日生まれ)。同年3月に公開された映画『ストロボ・エッジ』では王道のピュアな女子高校生を演じており、その直後となる5月公開の『ビリギャル』での変貌は、パブリックイメージとの落差を極限まで広げる賭けでもありました。
「清純派という枠組みに安住せず、生々しい人間味を持った女優へと脱皮したい」――当時の関係者取材によると、彼女自身が抱いていた強い表現者としての飢餓感と、メガホンを取った土井裕泰監督(のちに『花束みたいな恋をした』でもタッグ)の演出意図が完全に合致した結果のキャスティングでした。単なる奇抜なコスプレにとどまらず、ギャル特有の底抜けの明るさと、その裏にある劣等感や孤独感をリアルに体現するために、彼女は外見のみならず内面からも役を憑依させていきました。