平日・休日を問わず、開店前から熱心なファンが列を作るとんかついちかつ人気の理由は、単に「安いから」という一言では片付けられません。最大の特徴は、注文を受けてから職人が一枚ずつ丁寧に生パン粉をまぶし、低温と高温の油を絶妙に見極めて揚げる本格的な調理工程にあります。
カウンター越しに見える厨房では、無駄のない動きで肉を筋切りし、油のパチパチという音に耳を澄ませる職人の姿があります。提供されるかつは、箸で持ち上げるとずっしりとした重量感があり、断面からは透明感のある肉汁がじんわりと滲み出します。添えられるキャベツは極細でシャキシャキとした食感を保ち、炊き立てのご飯とシジミの滋味が染み渡る味噌汁、自家製のお新香に至るまで、定食としての調和が一分の隙もなく整えられています。
長年通い詰める常連客は「他店で倍の金額を払っても、いちかつ以上の満足感を得られる店はそうそうない」と語ります。価格に対するクオリティの落差(良い意味での裏切り)が極めて大きいことこそが、リピーターを生み出し続ける決定的な要因です。