歯茎にできる膿の塊は、主に2つの全く異なる病態から発生します。自力での処置が原理的に無意味である理由を理解するには、その発生メカニズムを知る必要があります。
1. 根尖性歯周炎によるフィステル(サイナストラクト)
歯茎にできるポツンとした白いニキビのような突起は、臨床現場で「フィステル」または「サイナストラクト(瘻孔・ろうこう)」と呼ばれます。このフィステル原因と治し方における本質は、歯茎そのものの異常ではなく、歯の根の先端(根尖部)に溜まった膿が骨を突き破り、歯茎の表面に作った「排膿路の出口」にあります。
虫歯を放置して歯の神経(歯髄)が死んでしまった場合や、過去に神経を抜いて根管治療を行った歯の内部で再び細菌が増殖した場合に発症します。根尖部で生じた膿は逃げ場を失い、歯槽骨を溶かしながらトンネルを掘り進め、最終的に歯茎の表面に穴を開けて排出されます。したがって、表面のおできをいくら潰しても、原因である歯根内部の細菌を除去しない限り、数日から数週間で必ず再発します。根尖性歯周炎治療法としては、歯の裏側から穴を開けて感染した根管内を徹底的に清掃・消毒する精密な再根管治療、あるいは歯根端切除術が不可欠です。
2. 重度歯周炎に伴う歯周ポケットからの排膿
もう一つの主要因が、歯周病菌が歯周ポケット深部に侵入して炎症を引き起こす歯周膿瘍です。歯周病膿の出し方として正しい医療行為は、歯科医院において専用の滅菌器具でポケット内部を洗浄し、歯石(スケーリング)やバイオフィルムを物理的に除去した上で、抗菌薬の局所投与を行うことです。歯周病による膿を指で力任せに絞り出すと、歯根膜や歯肉組織を物理的に挫滅させ、歯周ポケットをさらに深く押し広げて歯の寿命を劇的に縮める結果を招きます。
いずれのケースであっても、歯茎の膿自然治癒は医学的にあり得ません。炎症反応が一時的に落ち着いて膿の産生が減り、腫れが引く寛解期(見かけ上の沈静化)に入ることはあっても、骨の中の細菌巣が消失したわけではないため、免疫力が低下した瞬間に必ず再び激痛と腫れが襲いかかります。