パリへの亡命後、夫人は1967年に東京で娘・カリナ(カルティカ・サリ・デヴィ・スカルノ)を出産しました。激動の政変の余波を受け、父親であるスカルノ大統領に娘の成長を見せることは叶いませんでしたが、夫人は女手一つでカリナを欧米の超一流スクールで学ばせ、立派な国際人へと育て上げました。現在、カリナはオランダの金融界で活躍したフリッツ・フレデリック・シーガース氏と結婚し、息子のキラン(夫人の孫)を出産。キランの圧倒的な貴公子然とした美男子ぶりも、メディアで大きな話題を呼んでいます。
母親としての責任を果たし、現在も美貌と健康を保ち続ける夫人の美貌の秘訣は、極めてストイックな生活習慣に基づいています。
- 1日に10回感動すること:自著でも頻繁に語られる信条。「感動を忘れた瞬間に人間は老いる。美しい絵画、美味しい食事、自然の移ろいに心を震わせることが最大のアンチエイジング」と説きます。
- 徹底的な口腔ケアと姿勢の維持:80代になってもハイヒールを履きこなし、背筋を一切丸めない姿勢。食事の際も細心の注意を払うことで、全身の筋肉と内臓機能を維持しています。
- 尽きない好奇心と現場主義:テレビの過酷ロケであっても「できません」と断らず、スカイダイビングや猛獣との触れ合いにも果敢に挑戦する精神的タフネス。
【プロの結論】階層移動を成し遂げた美貌と強靭な自己プロデュース力に学ぶべき教訓
社会学や家族心理学の視点からデヴィ夫人の半生を分析すると、彼女の成功は単に「持って生まれた容姿」に依存したものではないことが浮き彫りになります。昭和の高度経済成長期前夜、多くの人々が固定化された階層意識に甘んじていた時代に、彼女は自らの美貌を武器としつつも、語学、国際儀礼(プロトコル)、政治経済の知識を過酷な努力で身につけ、強固な社会的自立を成し遂げました。
現代の読者が彼女の生き様から学ぶべき最大の教訓は、「外見の美しさは、それを支える強靭な知性とメンタルがあって初めて持続可能な価値になる」という事実です。他者に依存して庇護されるだけの存在であれば、スカルノ大統領の失脚や亡命生活のなかで彼女の名は歴史の波に埋もれていたはずです。しかし、彼女は自立した「個」としてパリの社交界を泳ぎ抜き、後半生では日本で唯一無二のコメンテーターとしてのポジションを自力で勝ち取りました。
ただし、この生き様は安易に真似できるものではありません。家族の犠牲、愛する弟の死、国家権力の衝突に巻き込まれる精神的負荷など、あまりにも高すぎる代償を支払った上での生存戦略だったからです。現代を生きる私たちが取り入れるべきは、そのドラマの激しさではなく、「どのような境遇にあっても、自らの価値を他人に委ねず、学び続け、凛として背筋を伸ばす」という徹底した自己規律の姿勢にほかなりません。