インターネット上の観光ブログやSNSでは、「ロープウェイは混むから、レンタカーやマイカーで直接大涌谷へ乗り入れたほうが早い」というアドバイスが散見されます。しかし、これは旅行の貴重な数時間をドブに捨てかねない極めて危険な誤解です。
大涌谷へと続く道路は、実質的に県道734号線の1本道しかありません。観光シーズンにおける大涌谷駐車場リアルタイム混雑の実態は凄惨を極めます。山頂の有料駐車場(約110台収容)に入庫待ちの車列が連なり、わずか2〜3キロメートルの山道を進むのに「1時間半から2時間半」ものスタックが発生します。車内からはUターンもできず、同乗者はトイレにも行けないという最悪のボトルネックに巻き込まれるのです。
現地をスマートに攻略するための大涌谷混雑回避のコツは、マイカー派であっても徹底した「パーク&ライド」を貫くことです。具体的には、大涌谷の直前にある早雲山駅駐車場(無料・約100台収容、足湯テラス「cu―mo箱根」併設)に車を停め、そこから箱根ロープウェイに乗り換えて大涌谷を目指す手法です。このルートを選択するだけで、県道の阿鼻叫喚の渋滞を完全に迂回し、わずか10分の快適な空中飛行で大涌谷へ直行することが可能になります。
さらに時間帯戦略として、大涌谷駅の始発である午前9時00分より前に早雲山駅へ到着しておくことが決定打となります。9時台前半の大涌谷は団体ツアー客もまだ到着しておらず、「ちきゅうの谷」の展望台を独占できるほか、黒たまごも並ばずに手に入ります。11時を過ぎると人波で身動きが取りにくくなるため、午前中のうちに芦ノ湖(桃源台)側へ抜け切るスケジュール設計がプロの定石です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
旅行者の身体状況や旅程の自由度によって、大涌谷ロープウェイへのアプローチは厳格に判断されるべきです。観光行動学およびリスクマネジメントの観点から、明確な基準を提示します。
- 全力でおすすめできる人:
- 早起きが得意で、朝8時30分〜9時前には現地近辺へアクセスできる行動派の旅行者。
- 箱根フリーパスを所持し、天候急変による代行バスへの振替にも柔軟に対応できる余裕のある周遊派。
- 地球のダイナミックな火山活動や絶景を肌で体感し、写真・動画に収めたい探究心の強い方。
- 利用を慎重に検討・あるいは避けるべき人:
- 気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心臓疾患、ペースメーカー装着者(風向き次第で急激に火山ガス濃度が上がるため、生命に関わる医学的リスクが存在します)。
- 「〇時〇分発の特急ロマンスカーに絶対乗らなければならない」といった分刻みの過密スケジュールを組んでいる人(突然の強風による一時見合わせに対応できません)。
- 長時間の歩行や階段の昇降が困難で、かつマイカー渋滞にも耐えられない乳幼児・高齢者連れのグループ(ピーク時の混雑負荷が非常に高くなります)。