名盤として名高いアルバム『orbital period』は、バンド結成から28年周期(公転周期)を迎えたメンバーの節目を象徴する作品です。前作『ユグドラシル』から約3年4カ月という長いインターバルを経て届けられたこのアルバムには、藤原基央が極限の精神状態の中で紡ぎ出した楽曲群が並んでいます。「才悩人応援歌」という極めて特異なタイトルは、文字通り「才能に悩む人への応援歌」を意味しています。
当時の音楽雑誌『ROCKIN'ON JAPAN』や『BRIDGE』のロングインタビューにおいて、藤原基央は本作の制作期に直面していた激しい産みの苦しみと自意識の葛藤について赤裸々に語っていました。「天才」と称賛され、モンスターバンドのフロントマンとして巨大な期待を背負わされる一方、内面では一人の表現者としての無力感や、自分以上の才能に対する嫉妬や恐れを抱え続けていたと証言されています。自分自身が才能の壁にぶつかり、懊悩した経験があるからこそ、借り物の励ましではない、血の通った言葉がノートに書き殴られました。
疾走感あふれるBPM170超の鋭利なエモーショナル・ロックサウンドに乗せて歌われるのは、華々しい成功物語ではなく、日陰にうずくまる者の生々しい告白です。レコーディング現場では、飾り気のないソリッドなバンドアンサンブルを追求し、過剰な装飾を削ぎ落とすことで、言葉の持つ鋭敏さを極限まで際立たせるアプローチが採られました。