陽菜の首元を常に飾っていた青い宝石のチョーカーは、本作の象徴的なアイテムです。このチョーカーは、もともと病床にあった母親が身につけていたブレスレットでした。母親の死後、陽菜がそれをチョーカーにリメイクして肌身離さず着用していました。
このチョーカーには「亡き母との精神的な繋がり」と同時に、「天気の巫女としての力の束縛」という意味合いが込められています。物語のクライマックス、積乱雲の上の世界で帆高が陽菜の手を掴んで引き戻す救出シーンにおいて、このチョーカーは粉々に砕け散ります。
チョーカーの破損は、陽菜が「天気の巫女」という神聖な役割(=他者のための人柱)から解放され、血の通った一人の普通の人間・天野陽菜に戻ったことを視覚的に証明する決定的な演出です。母親の死による精神的呪縛と、世界を救う義務の双方から解き放たれた瞬間でした。