都心部を中心に、2,000円台後半から3,000円台半ばで焼き鳥や一品料理が食べ放題となる居酒屋が賑わいを見せています。外食産業全体の原価率が平均30〜35%前後で推移する中、なぜ焼き鳥食べ放題はこれほどリーズナブルな価格設定を維持できるのか。業界関係者への取材や決算公開データから、3つの構造的要因が浮き彫りになりました。
第一の理由は、鶏肉の部位ごとの仕入れ効率と廃棄ロス(フードロス)の極小化です。牛肉や豚肉と比較して鶏肉は部位ごとの価格差が比較的小さく、大量一括調達によるバイイングパワーが強く働きます。さらに、焼き鳥チェーンでは串打ち工程で出る端材をスープやつくね、鶏そぼろ丼などのサイドメニューに再利用できるため、食材廃棄率が通常の居酒屋業態の半分以下(約1.5%未満)に抑えられています。
第二に、セントラルキッチンと機械化による仕込み人件費の劇的削減が挙げられます。かつて職人が手作業で行っていた串打ち作業を専用の自動串打ち機へ移行し、各店舗では「焼く」工程に特化できるオペレーションを構築しました。これにより、専門職人を店舗ごとに常駐させる必要がなくなり、人件費率を大幅に引き下げることに成功しています。
第三の決定的な要素が、焼き鳥食べ放題と飲み放題付きプランのセット設計による利益コントロールです。塩分と脂が効いた焼き鳥はアルコールやソフトドリンクの消費を自然と促進します。アルコール飲料(特にハイボールやサワー類)は原価率が10%〜15%程度と非常に低いため、フードで原価率が40%近くまで跳ね上がったとしても、ドリンクを含めた全体の原価率は目標水準の30%前後に収束する仕組みが完成しています。