ファンの間で「シリーズ屈指の切ない悲劇」として真っ先に名前が挙がるのが、ニンテンドー3DS用ソフト『星のカービィ トリプルデラックス』に登場したタランザとクイン・セクトニアの物語です。
かつて二人は、天空の世界「フロラルド」で仲睦まじく暮らす無二の親友でした。タランザは、敬愛する女王セクトニアを喜ばせたい一心で、異次元から手に入れた秘宝「ディメンションミラー(心の闇を映し出す鏡)」を彼女へ献上します。しかし、この鏡こそが破滅の引き金でした。
鏡の魔力に当てられたセクトニアは、次第に美と支配への執着に狂わされ、自らの精神を蝕まれていきます。彼女は美貌と不滅の命を保つため、他者の肉体に寄生を繰り返し、かつての面影を完全に失った異形の巨大蜂へと変貌してしまいました。タランザの純粋な忠誠心と好意が、結果として最愛の主を狂気へと叩き落としてしまったのです。
最終局面でセクトニアはワールドツリーと一体化し、星全体を養分にしようと暴走。タランザは正気を取り戻し、カービィに加勢して彼女を止めようと試みますが、もはや言葉は届きません。カービィの「ハイパーノヴァ吸い込み」によって放たれた光線の前にセクトニアは消滅し、残されたタランザはただ一人、主の亡骸に花を手向けることしかできませんでした。善意が生んだ取り返しのつかない結末に、涙を流したプレイヤーは少なくありません。