埼玉県朝霞市膝折町に構えていた朝霞本店は、まさに国内サッカーリテール界の金字塔でした。ワンフロア数千平方メートル規模を誇る広大な売場には、主要メーカーの最新モデルからジュニア用、マニアックな海外レーベルまで常時数万点におよぶギアが陳列されていました。人工芝の試し履きスペースや足型精密測定器の導入など、体験型スポーツショップの先駆けとして1990年代から2010年代にかけて圧倒的な存在感を放っていたのです。
全国のサッカーファンに衝撃を与えたフタバスポーツ朝霞本店の閉店理由には、スポーツ小売業界を取り巻く劇的なパラダイムシフトが存在します。最大の要因は、急速なデジタルシフトに伴う「大型ロードサイド店舗の維持コストと収益性のバランス変化」です。広大な売り場と大型駐車場を維持するための固定資産税や賃料、莫大な照明・空調費、そして専門スタッフの常駐コストは、スマートフォンの普及とともに店舗の収益構造を圧迫していきました。
ショールーミング化(実店舗で試着し、最安値のECで購入する購買行動)が一般化したことで、メガ店舗単独での採算性維持は年々厳しさを増しました。同社は衰退による撤退ではなく、次世代を見据えた経営資源の集中を決断。郊外型ロードサイドの巨艦店から、ターミナル駅至近でアクセスの良い都市型拠点へのスリム化と、自社EC・モール型ECへのオムニチャネルシフトへ舵を切ったというのが真相です。