小野リサの唯一無二のグルーヴ感と自然体のポルトガル語発音の背景には、特異な生い立ちが存在します。1962年7月29日、ブラジルのサンパウロに生まれた彼女は、日系ブラジル人2世として豊かな南米カルチャーに囲まれて育ちました。父親が現地でライブハウスを経営していたこともあり、幼少期から本場のサンバやボサノバのリズムを肌で感じて過ごす日々を送ります。
10歳のときに家族とともに日本へ帰国。その後、父親が東京・四谷にオープンしたブラジル料理・ライブレストラン「サッシペレレ」は、当時の日本のブラジル音楽コミュニティにおける一大拠点となりました。彼女はこの店で皿洗いや接客を手伝いながら、15歳で本格的にアコースティックギターを手にし、本場のミュージシャンたちとセッションを重ねて腕を磨いていきました。
1989年にアルバム『CATUPIRY(カトゥピリ)』でメジャーデビュー。日本ゴールドディスク大賞のジャズ部門を受賞するなど瞬く間に頭角を現し、本場ブラジル録音を重ねながらアントニオ・カルロス・ジョビンをはじめとする現地の巨匠たちと親交を深めました。本場のレジェンドたちからも「真のボサノバを理解する稀有な歌い手」として認められたことが、彼女のキャリアを決定づける礎泉となりました。