新今宮駅の治安をめぐる議論において、まず整理すべきは「過去のイメージ」と「現在の実態」の明確な乖離です。1990年代初頭までの日雇い労働者の街「あいりん地区(釜ヶ崎)」の印象をそのまま引きずり、SNS等で「歩くだけで危険」と煽る言説は、現在の実情から大きく外れています。
大阪府警察が公表する最新の地域別犯罪統計を見ても、西成区内の凶悪犯罪件数は平成初期のピーク時から約70%以上減少しています。防犯カメラの集中設置や地域パトロールの常態化が進んだことで、日中の駅前やメインストリートで突発的な危険に遭遇する可能性は極めて低くなりました。
ただし、街のグラデーションには注意が必要です。駅の北側(浪速区・新世界方面)は観光客や買い物客で賑わう開放的な商業エリアである一方、高架下のガードをくぐった南側(西成区・萩之茶屋方面)には、今なお簡易宿泊所や高齢者のコミュニティ、独自のディープな酒場街が広がっています。南側であっても昼間に一般的なマナーを守って歩く分にはトラブルに巻き込まれることはまずありませんが、「深夜に不用意に細い路地へ立ち入らない」「他人にカメラを向けない」といった最低限の配慮は心得ておくべきルールです。