食と湯浴みは温泉旅館の真価を問う二大要素ですが、ふる川はその双方で独自のポジションを築いています。夕食で最も注目されるのが、食事処「蔵すけ」などで供される名物の「囲炉裏会席」です。
炭火の赤々とした熱を間近に感じながら、道産の旬魚やエゾシカ肉、地場野菜の串焼きをじっくりと炙り、焼き立てを味わう体験は、都会のレストランでは得難い滋味にあふれています。季節ごとの素材の鮮度はもちろん、出汁の引き方や郷土料理を昇華させた小鉢の一つひとつに至るまで、料理人の誠実な手仕事が光ります。朝食に関しても、名物の焼きたてクロワッサンや手作りのおばんざいバイキングが提供され、朝から健康的な満足感を満喫できます。
温泉環境においても、定山渓の豊かな源泉を贅沢に生かした多層構造が魅力です。本館の大浴場には、自然の渓流や緑を望む露天風呂に加え、よもぎの蒸気が立ち込める「蒸し風呂(瞑想サウナ)」など、リラクゼーション効果を高める温浴設備が揃っています。
さらに、静寂の中で極上の湯浴みを堪能したい層から圧倒的な支持を集めているのが、離れに佇む貸切風呂「奥の湯 湯庵(ゆあん)」です。木造の落ち着いた小屋の中に備えられた湯船は、日頃の喧騒を完全に遮断したプライベート空間。源泉かけ流しの湯に身を浸しながら、窓外の風に吹かれる時間は、ふる川での滞在体験を象徴するハイライトと言えます。