血液培養手順の正解|2セット採取の理由と失敗ゼロへ導く採血術

血液培養手順の正解|2セット採取の理由と失敗ゼロへ導く採血術

血液培養手順の正解|2セット採取の理由と失敗ゼロへ導く採血術を詳しくリサーチ! 知っておきたい 情報と解説を凝縮して配信します。

血液培養のオーダーが出た際、初学者が最も疑問に抱きやすいのが「なぜ痛い思いをさせてまで2箇所から血を採るのか」という点です。結論から言えば、血液培養2セットの理由は「検出感度の飛躍的な向上」と「コンタミネーション(皮膚常在菌の混入)による血液培養の偽陽性判定を排除すること」の2点に集約されます。

日本および米国の臨床微生物学データによると、菌血症患者における血液培養1セット(20mL)のみの検出感度は約65〜75%程度に留まります。つまり、1セットのみの採取では、およそ4人に1人の割合で血流感染を見逃す計算になります。これを2セット(計40mL)に増やすことで検出感度は90%以上に跳ね上がり、3セット採取すれば約98%を捕捉できることが科学的に実証されています。

さらに重要なのが、皮膚常在菌であるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)やCutibacterium acnes、コリネバクテリウム属などが検出された際の臨床判断です。もし1セットのみの採取でこれらが陽性となった場合、それがカテーテル関連血流感染症(CRBSI)や人工弁心内膜炎による「真の起因菌」なのか、穿刺時に混入した「単なるコンタミ」なのかを区別することは医学的に不可能です。別々の部位から採取した2セット中2セットとも同一菌が検出されて初めて「真の菌血症」、1セットのみであれば「コンタミネーションの可能性が高い」と合理的に判断できます。

臨床現場において菌血症疑いの診断基準を評価する際、qSOFA(迅速SOFAスコア:呼吸数22回/分以上、意識変容、収縮期血圧100mmHg以下)やSIRS基準、原因不明の突然の悪寒戦慄(shaking chills)を認めた段階で、速やかに2セット採取を完了させることが救命の第一歩となります。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。