坂東龍汰という役者の真価を全国の視聴者に決定づけたのが、2024年10月期に放送されたTBS系ドラマ『ライオンの隠れ家』です。柳楽優弥が演じる主人公の弟で、自閉スペクトラム症を抱える青年・小森美路人(みちと)役を演じた坂東の芝居は、放送直後からSNSやレビューサイトを席巻しました。
障害や特性を抱えるキャラクターの造形は、一歩間違えれば戯画化やステレオタイプに陥る極めて高いリスクを伴います。しかし、坂東のアプローチは小手先のモノマネとは対極にありました。関係者の証言によると、彼はクランクイン前に自閉スペクトラム症の支援施設や当事者の家庭へ何度も足を運び、専門家の監修のもとで何十時間にも及ぶ観察と対話を重ねていたのです。
視線の彷徨い方、指先の細やかな反復運動、感情が昂ぶった際の呼吸の乱れ、そして予測不能な出来事に直面したときのパニック状態の表現まで、坂東の肉体表現は本物のリアリティに満ちていました。放送中には当事者家族から「美路人の姿に、普段の我が子の日常そのものを見ているようで涙が止まらなかった」「誇張がなく、尊厳を持った表現をしてくれて救われた」という称賛の声が数多く寄せられ、ギャラクシー賞月間賞をはじめとする専門機関のアワードでも極めて高い評価を獲得しました。