7弦ギターのポテンシャルを引き出せるか、それともピッチの狂いに悩まされて放置することになるかの分水嶺は、「チューニング」と「スケール長に対する弦ゲージの数学的適合」にあります。ここを感覚で処理してしまうことこそが、多くのプレイヤーが泥沼にはまる根本原因です。
基本となるレギュラーチューニング(7弦からB-E-A-D-G-B-E)では、6弦ギターの弾き心地をそのまま上にスライドできます。しかし、近年のモダンダウンチューン楽曲の約7割で採用されているのが、7弦のみをさらに1音下げる「ドロップA設定(A-E-A-D-G-B-E)」です。7弦と6弦、5弦を人差し指1本でセーハするだけで重厚なパワーコードが鳴らせるため、激烈なリフワークを高速で展開できる利点があります。
問題となるのは、このドロップA設定にした際の「スケール長と弦のテンション(張力)」の関係です。伝統的なストラトキャスターと同じ25.5インチ(ロングスケール)のギターに、一般的な「.009〜.054」や「.010〜.059」の弦を張り、7弦をLow-Aまで落とすと、張力は著しく低下します。強くピッキングした瞬間にピッチがシャープ(音程が上振れ)し、コードが不協和音化する「音程のヨレ」が発生するのです。
ドロップAを多用することが明白であるならば、最初から26.5インチ以上のスーパーロングスケールや、低音弦側のみスケールが長いマルチスケール仕様を選択することが、物理的なピッチ破綻を防ぐ最短ルートとなります。