「生まれてこなければ、苦しむこともなかった」
ジークが導き出した極端な救済策は、エルディア人から生殖能力を奪い、緩やかに民族を消滅させることだった。かつては「冷酷なディストピア思想」と一蹴されたこの計画が、なぜ今になってSNSで「一理ある」と囁かれるのか。そこには、終わりの見えない不況や気候変動、そして未来への希望を失った若者たちのリアルな虚無感が投影されている。
もちろん、彼の計画は倫理的に許されるものではない。しかし、他者を傷つける「地鳴らし」を選んだ弟エレンに対し、自己の消滅による平和を望んだ兄ジークの選択は、ある種の「究極の優しさ」として受け止められてしまう危うさを持っている。この歪んだ共感が、今もなお議論を呼び続ける最大の要因だ。