かつての騒動は、単なる悪ふざけでは済まされない規模だった。あるユーザーが掲示板に投稿した一枚の写真と、そこに添えられた過激な告発。真偽が定かでないまま情報は爆発的に拡散し、まとめサイトがそれに油を注いだ。事実確認が行われる前に、標的となった企業は数億円規模の損失を被り、ネット上は正義感に駆られた匿名ユーザーによる罵詈雑言で埋め尽くされた。
この事件の本質は、個人の発信が巨大組織を揺るがすことができるという「個のエンパワーメント」のダークサイドだった。当時のネットはまだアングラな雰囲気を残しており、デマや誇張が日常茶飯事だったが、この騒動はネットの悪意が現実世界を破壊する決定的なトリガーとなったのである。