シールエクステを取り外す際、最もやってはいけない行動が「乾いた状態のまま力任せに引き剥がすこと」です。SNSや知恵袋などの相談窓口には、「痛みに耐えながら引っ張ったら地毛ごとブチブチちぎれた」「抜けた毛の根元が赤く腫れ上がった」といった悲痛な声が連日投稿されています。なぜ、強引な力技がこれほどまでに破滅的な結果をもたらすのでしょうか。
シールエクステの接着部には、医療用テープなどにも用いられるアクリル系やポリウレタン系ポリマーの強力な粘着剤が採用されています。この粘着剤は、髪の毛の表面を覆う魚の鱗のような「キューティクル」の微細な凹凸に入り込み、強固な物理的・化学的アンカー効果を発揮します。乾いた状態で垂直方向に引っ張ると、粘着剤が剥がれる前にキューティクルが無理やり引きちぎられ、毛髪内部のコルテックス(タンパク質)が剥き出しになってしまいます。
さらに深刻なのが頭皮と毛根への物理的ダメージです。人間の毛根は1本あたり約50〜80gの引張張力には耐えられますが、エクステの接着面には数十本の地毛が集約されています。これをまとめて引っ張ると、毛根部に局所的な過負荷がかかり、毛母細胞ごと毛球部が破壊される「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」を誘発します。一度毛根が破壊されると、その毛穴から二度と健康な毛が生えてこなくなるリスクすら孕んでいます。「油分で粘着剤を軟化させて滑らせる」ことこそが、地毛を痛めない外し方の絶対的な前提条件です。