視聴者のアドレナリンを限界まで引き上げたのが、緻密なプロットで構築されたサスペンスジャンルだ。なかでもNetflixが放った『地面師たち』は、100億円規模の不動産詐欺を描いたクライムサスペンスの最高峰として社会現象を巻き起こした。狂気と知略が交錯するスリリングな展開、妥協なきバイオレンスとエロティシズムの描写は、従来の日本ドラマでは到達し得なかったリアリズムを提示した。
一方、地上波の矜持を示したのがTBSテレビの日曜劇場枠で放送された『アンチヒーロー』だ。正義と悪の境界線を曖昧にし、司法制度の暗部を抉り出すダークな法廷劇は、視聴者に「本当の正義とは何か」を鋭く問いかけた。予測不能な伏線回収と息詰まる法廷での舌戦は、サスペンスドラマの新たなスタンダードを打ち立てたといえる。