「キャラクターの顔や複雑なロゴワッペンの質感を損ないたくない」「縫い糸を目立たせず、まるで最初から貼り付いているかのように見せたい」というニーズに応えるのが、手芸作家や衣装制作のプロが実践するフェルトワッペン縫い目見えない裏技(沈め縫い・奥まつり)です。
フェルトは繊維を熱や圧力で圧縮して作られた不織布であるため、織物と異なり内部に厚みとクッション性を持っています。この構造的特徴を利用し、針をフェルトの表面まで貫通させず、フェルトの厚みの半分(層の間)だけをすくって縫い進めるのが沈め縫いの基本原理です。
具体的な手順は以下の通りです。まずワッペンの裏側から針を入れて玉結びを土台とフェルトの間に完全に隠します。次に、フェルトの端から約1mm内側の側面から針を入れ、表面に針先を出さないようフェルトの内部をすくって土台生地へと針を落とします。同色の細口ポリエステル糸を使用し、適度なテンションで引き締めると、糸がフェルトの繊維の奥深くに沈み込み、表面からは一切縫い目が見えなくなります。
この技法を用いれば、文字や星型など複雑な角を持つワッペンでも、シャープな輪郭を保ったまま頑丈に固定することが可能です。