「土にカルシウム肥料を混ぜたのに尻腐れ果が発生した」という声が現場では後を絶ちません。農林水産関連の研究機関が公表する栽培データからも明らかなように、土壌中にカルシウムが存在していても、植物がそれを吸収・利用できない環境が揃うと障害が発現します。主な引き金は以下の3点に集約されます。
第一の要因は、土壌の極端な乾燥と過湿の繰り返しです。強い日差しによってプランターや畑の水分が急激に失われると、根が水分を吸い上げられず、水に溶けたカルシウムの供給がストップします。逆に、過度な水やりで根腐れを起こしている場合も吸水能力が著しく低下します。
第二の要因は、窒素過多による肥料バランスの崩壊です。成長を促そうと油かすや化成肥料を過剰に与えると、土壌中のアンモニア態窒素やカリウムが過多になります。これらはカルシウムと同じ陽イオンであるため、根の吸収口で激しい拮抗作用(競合)を起こし、カルシウムの吸収をブロックしてしまいます。
第三の要因は、猛暑による根へのダメージと過度な蒸散です。地温が30度を超えると根の活性が落ちる一方、強い直射日光で葉からの蒸散量は跳ね上がります。水分とカルシウムがすべて大きな葉へと奪われ、果実先端への供給ルートが完全に途絶えてしまう構造的リスクが存在します。