充電器選びにおいて、ネット上の誤認が最も蔓延しているのが「ワット数が大きければ大きいほど、スマホも速く充電できる」という思い込みです。
「大は小を兼ねる」という感覚でスマホ用タイプC充電器100Wをスマートフォン単体に接続しても、4倍や5倍の速度で充電できるわけではありません。前述の通り、充電スピードを決定するのは受電側(端末)の制限です。iPhone 16であれば最大約27W、一般的なAndroidスマートフォンでも30W〜45W程度で端末側の制御弁(リミッター)が作動します。100Wの充電器を挿しても、流れる電力は端末の上限値に抑え込まれるため、スマホ単体の充電速度は30W充電器を用いた場合と実質的に変わりません。
もう一つの罠は、複数ポートType-C充電器における「ワット数の合計表記」です。パッケージに「合計65W」と大きく書かれていても、2つのポートに同時にケーブルを挿した瞬間、出力は「45W+20W」や「30W+30W」に分断されます。65Wの給電を前提とするノートパソコンを使用しながらスマートフォンを挿した途端、PCへの給電が45W未満にダウンし、PCのバッテリー残量がじわじわ減っていく「給電不足トラブル」の正体がこれです。
さらに軽視できないのがType-C充電器の発熱と危険性です。規格外の粗悪品や、内部の放熱設計が杜撰な海外直輸品を使用し続けた結果、コネクタ部分の溶解や発火に至る事故が国内の事故情報データバンクにも寄せられています。発熱を抑えつつ安全に高出力を引き出す仕組みが不可欠となっています。