日本小児アレルギー学会が特に強い調子で警鐘を鳴らしているのが、「不適切な食事制限による二次被害」です。アレルギー専門医の管理を伴わない自己判断の除去食には、極めて深刻な健康リスクが潜んでいます。
第一に、栄養障害と発育不全のリスクです。特に成長期の子どもに対して検査を受けさせ、陽性判定が出た卵、牛乳、小麦、大豆といった基礎栄養源を一括して遮断した結果、重篤な低栄養や鉄欠乏性貧血、骨密度低下を招いた症例が学会誌に複数報告されています。成人であっても、過度な除去によって急激な体重減少や生理不順を引き起こすケースは少なくありません。
第二に、「フードフォビア(食物恐怖)」や摂食障害傾向の助長です。検査結果の棒グラフに怯え、「これを口にしたら毒になる」という強迫観念に囚われることで、正常な社会生活や外食が不可能になる心理的弊害が指摘されています。「これを食べると体調が悪化するに違いない」と思い込むこと自体が強い身体症状を生み出す「ノーシーボ効果」の罠にはまり、かえって心身の健康を損なう事態に陥るのです。