1990年の放送終了後、メディアの間では「長渕剛はNHKを出禁になった」という噂が一気に広まりました。確かに生放送の進行を著しく狂わせたことや、当時のNHK上層部を激怒させたとされるエピソードから、その後の紅白出場が絶望視されたのは自然な流れでした。
しかし、真相を掘り下げると、この長尺出演は現地スタッフと事前のすり合わせや条件提示がなされていた側面もあり、単なる独断暴走だけでは片付けられない背景が存在します。異国の地で「本物の表現」を届けようとした長渕さんのアーティストとしての矜持と、生放送の尺を守るべきテレビ局側の論理が激しく衝突した結果でした。
その後、長きにわたり紅白の舞台から遠ざかっていたものの、2003年の第54回紅白歌合戦で13年ぶりの出場を果たし、正式に「出禁解除」を証明しました。この復帰劇は、双方が過去のわだかまりを乗り越え、表現者と放送局としての信頼関係を再構築した決定的な瞬間となりました。