公開から現在に至るまで、SNSやレビューサイトでは本作に対する熱狂的な感想が投下され続けています。ファンの声を検証すると、反応は大きく2つの極端なベクトルに分かれています。
ひとつは「過去の自分を見ているようで死にたくなった」という痛烈な共感の声です。好きな相手からの返信を待ちわびて生活のすべてが手につかなくなったり、嫌われないために都合の良い人間を演じてしまったりした経験を持つ層にとって、テルコの行動は古傷をえぐられるような衝撃を与えます。
もうひとつは「なぜここまで自分を粗末にできるのか理解不能」という嫌悪や困惑の反応です。自立した大人の恋愛観を持つ鑑賞者からは、仕事をクビになり、友達を失いかけてもなおマモルに執着するテルコの姿は、もはやホラー映画の怪異のように映ります。
この「激しい共感」と「生理的嫌悪」の双方が同時に巻き起こる現象こそが、本作が凡百の恋愛映画と一線を画す傑作である証拠です。人間の心の奥底に眠る、理屈では割り切れない愛の醜さと切実さを、オブラートに包まずスクリーンに焼き付けているからに他なりません。