箱根園水族館の代名詞とも言えるのが、頭に手ぬぐいを乗せ、前脚で徳利や温泉桶を抱えながら目を細める「バイカルアザラシの温泉芸」です。ネット上や旅行者の間では「箱根の天然温泉に入っているのか?」という微笑ましい誤解がしばしば見受けられますが、実際の生態と演出の真相はどうなっているのでしょうか。
バイカルアザラシは、ロシアのバイカル湖にのみ生息する世界で唯一の淡水アザラシです。極寒の地に適応しているため、彼らが暮らすプールは年間を通じて水温10〜15度前後の冷水に保たれています。つまり、本物の温泉に入っているのではなく、飼育員との深い信頼関係に基づいたトレーニングによって、箱根の温泉文化をモチーフにした愛らしい仕草を披露しているのが真相です。
バイカルアザラシショーでは、ふっくらとした体を器用に揺らしながら波打ち際に寄り添う姿や、スイスイと水面を滑る俊敏な泳ぎを間近で観察できます。単なる曲芸にとどまらず、寒冷地に適応した分厚い皮下脂肪や大きな瞳といった生物学的特徴を飼育員の生解説とともに学べる構成となっており、大人から子どもまで引き込まれる見どころとなっています。