保育の現場取材において、現役の保育士たちから「導入で迷ったらまずこれを歌う」と口を揃えて挙げられるのが『さかながはねて』です。子どもが一瞬で静まり、保育者に視線を集中させる背景には、緻密な発達心理学的アプローチが存在しています。
乳幼児期の認知発達において、予測と裏切り、そして「期待通りの結果が訪れる快感」は脳を強く刺激します。魚が「ぽん!」と跳ねるタメの動作は、乳児にとって適度な緊張感を生み出し、身体にくっついた瞬間に「ぼうし」や「めがね」へと見立てられることで一気に緊張が緩和されます。この「緊張と緩和の反復リズム」こそが、子どもたちの笑いと集中を引き出す最大のトリガーです。
さらに、人気絵本作家の森あさ子氏が手掛けた絵本『さかながはねて』(世界文化社)のヒットも、この手遊び歌の認知度を確固たるものにしました。切り絵コラージュによる鮮やかな色彩とダイナミックな構図は、視覚情報が未発達な低年齢児にも強烈なインパクトを与えます。絵本の読み聞かせのコツとしては、ページをめくる前に「さかながはねて…」と声を潜め、「ぴょーん!」のタイミングで勢いよくめくる抑揚をつけることで、手遊び歌との相乗効果が劇的に高まります。