「最南端の島」というキーワードを取り巻く言説の中には、地理的な知識不足やネット上の不正確な情報から生じた誤解が散見されます。正しい理解のために、頻出する3つの論点を整理します。
誤解1:「沖ノ鳥島はコンクリートで固めた人工島だから領土としてずるい」という言説
SNSやネット掲示板などで「日本が海上に人工島を造って勝手に領有を主張している」といった批判的な書き込みを目にすることがあります。しかし、これは明確な誤認です。前述の通り、沖ノ鳥島にはもともと満潮時でも水没しない自然の露岩(北小島・東小島)が存在しており、日本政府が行った工事は「既存の自然島が波浪浸食で消滅するのを保護・補強した護岸工事」です。国際法上、もともと陸地として存在した領土を保全する行為は正当な主権行使として認められています。
誤解2:日本最西端との混同
波照間島を「日本で一番西にある島」と混同する人がいますが、日本の最西端は同じ八重山諸島に属する「与那国島」(沖縄県八重山郡与那国町)です。与那国島からは年に数回、台湾の山並みが肉眼で確認できるほどの距離にあり、波照間島(最南端)とは位置づけが異なります。
誤解3:「世界最南端の島」はどこにあるのか?
日本国内を離れて地球規模に視点を広げた場合、「世界最南端の島」は南半球の過酷な寒冷海域に位置しています。
定住人口が存在する有人島としての世界最南端は、南米大陸南端のティエラ・デル・フエゴ諸島に属するチリ領ナバリーノ島(中心都市:プエルト・ウィリアムズ)が広く認知されています。一方で、地理的な陸地としての純粋な最南端の島となると、南極条約によって領有権が凍結されている南極大陸周辺の島々(アレクサンダー島やロス島など)が該当します。南国の珊瑚礁である日本の最南端とは、気候風土の面で完全に対照的な環境が広がっています。