インターネット上の気象速報や天気アプリを見る際、多くの人が陥りがちな重大な誤解が存在します。それは「降水量が数ミリ程度の予報だから、河川の氾濫や浸水リスクはゼロである」という思い込みです。杉並区においてこの楽観視は極めて危険です。
区内を東西に蛇行しながら流れる善福寺川は、周囲がすり鉢状の地形になっている区間が多く、降った雨が短時間で河川へ集中しやすい特性を持っています。東京都下水道局および東京都建設局の河川管理データによれば、善福寺川流域は過去幾度となく局地的大雨による越水や床下浸水を経験してきました。そのため、現在では環状七号線地下広域調節池や善福寺川調節池などの巨大地下インフラが整備され、治水能力は飛躍的に向上しています。
しかし、それでもなお注意すべきは「内水氾濫(下水道の排水能力を超えてマンホールや側溝から水があふれる現象)」です。気象庁から杉並区大雨洪水警報最新の報が発令された段階では、すでに川辺の緑地公園(善福寺川緑地や和田堀公園など)は冠水危険域に達していることが少なくありません。住民が確認すべきは一般的な降水予報だけでなく、東京都の水防災情報システムがリアルタイムで配信する善福寺川水位情報現在の観測数値です。「警戒水位」や「氾濫危険水位」への到達スピードは、山間部の河川とは比較にならないほど速いという事実を認識しておく必要があります。