日本女子卓球界で目覚ましい飛躍を遂げ、パリ五輪団体銀メダルに貢献した妹・張本美和との関係性も、兄・智和を語る上で欠かせない要素です。5歳年下の美和にとって、智和は常に前を走り続ける憧れの存在であると同時に、最も身近な理解者でもあります。混合ダブルスでペアを組む際に見せる阿吽の呼吸や、ベンチから互いの試合を見守る真剣な眼差しには、単なる兄妹を超えた「戦友」としての強い信頼が滲み出ています。
この二人の天才を育て上げたのが、父・張本宇(ハリモト・ユウ)氏と母・張本凌(ハリモト・リョウ)氏です。両親はともに中国四川省出身の元プロ卓球選手であり、母の凌氏は中国代表として世界選手権に出場した実績を持ちます。夫妻は指導者として来日後、仙台の地でジュニアの育成に尽力。2014年春、智和が小学4年生の折に、父・宇氏、智和、美和の3人が正式に日本国籍を取得(帰化)しました。
両親の教育方針で特筆すべきは、過度な強制を排除した点にあります。父・宇氏は取材に対し、「卓球台に向かうこと自体は本人の意思に任せてきた。親ができるのは環境を整え、礼儀と努力の価値を教えることだけ」と明かしています。家庭内に健全な心理的境界線(バウンダリー)が保たれていたからこそ、二人の子どもはプレッシャーに押し潰されることなく、自身の主体性を持ってトップアスリートへと成長を遂げました。