農林水産省の統計や青果流通の現場データを見ても、セロリは香味野菜として高い需要を誇る一方、家庭における「可食部の廃棄率」が極めて高い野菜の筆頭に挙げられます。消費者が葉を切り落としてしまう最大の理由は、「強烈な青臭さ」と「口に残る苦味・繊維感」に対する先入観です。しかし、植物生理学的に見れば、日光を浴びて光合成をおこなう葉の部分にこそ、生命活動に必要な主要栄養素が集中的に蓄積されています。
文部科学省が公表している「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」のデータを紐解くと、茎と葉の栄養バランスには決定的な格差が存在することが明白になります。抗酸化作用を持ち体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンの含有量は、淡色野菜である茎に対して葉は約2倍以上に達します。さらに、免疫機能をサポートするビタミンC、骨の形成に関わるビタミンK、余分な塩分を排出してむくみを予防するカリウムにおいても、葉の方が圧倒的に高密度です。
加えて注目すべきは、セロリ特有の清涼感ある香りを構成する「アピゲニン」や「ピラジン」といった機能性成分です。アピゲニンはポリフェノールの一種であり、近年の自律神経研究において精神を安定させ緊張を和らげるリラックス作用が報告されています。また、ピラジンには末梢血管を拡張して血流を促す働きがあるとされ、冷え性の改善や血栓予防の観点からも熱い視線が注がれています。