M-1グランプリにおいて、長年「鬼門」とされてきたのがファーストラウンドの出番順1番(トップバッター)です。基準点が定まっていない審査員が点数を抑えめに付ける傾向があり、第1回の中川家を除いてトップバッターからの優勝は不可能と見られていました。
しかし2023年大会において令和ロマンが1番手で登場し、圧巻のテンポとアドリブ対応で高得点を獲得。最終決戦でもヤーレンズとのハイレベルな一騎打ちを制して優勝を果たしたことで、長年のジンクスは完全に打ち破られました。さらに令和ロマンが掲げた「翌年の連覇挑戦」という前代未聞のスタンスは、賞レースを「ゴール」ではなく「エンタメコンテンツの実験場」として捉える新世代の価値観を如実に示しています。
また、歴代審査員メンバーの推移も採点基準に大きな影響を与えてきました。島田紳助氏や松本人志氏が築いた「漫才の構造とオリジナリティを重んじる視点」に加え、中川家・礼二氏や博多大吉氏、富澤たけし氏、山田邦子氏、海原ともこ氏など、演者目線や大衆性を兼ね備えた審査員が加わることで、技術力と劇場型の爆発力の双方がバランスよく評価されるシステムへと進化しています。