「〇〇さん、完全にガチ勢じゃん」という言葉をかけられた際、素直に喜んでよいのか、それともからかわれているのか戸惑った経験を持つ人も多いはずです。現代のネットカルチャーにおいて、「ガチ勢」は文脈によってポジティブとネガティブの両義性を持ちます。
褒め言葉として機能するのは、自虐や敬意が介在するシチュエーションです。例えば、料理やDIYでプロ顔負けの道具を揃えて美しい成果物を公開した人に対し、「ガチ勢すぎる、尊敬する」とリプライを送る場合、それは「卓越した技術と熱量への賞賛」を意味します。この文脈では、誰も損をしておらず、純粋なエンターテインメントとして消費されます。
一方で、蔑称として使われるのは「空気を読めない人」「近寄りがたい異物」を指す場面です。合コンや親睦を目的としたフットサル、初心者中心のボードゲーム会などで、1人だけ本気で勝ちにいき、初心者のミスを咎めるような振る舞いをした瞬間、「あの人ちょっとガチ勢すぎて引くよね」と、集団からの疎外を促すラベルへと変貌します。
つまり、「ガチ勢」という言葉が賛辞になるか冷笑になるかは、「その情熱が他者を魅了しているか、それとも他者を威圧・排斥しているか」という一点にかかっています。