これらの穴場が別格の涼しさを保ち続ける理由は、標高の高さだけではない。豊かな水脈と広大な原生林がもたらす蒸散効果が、巨大な天然冷却システムとして機能しているからだ。特に奥日光の湿原群や秩父地方の広葉樹林では、環境負荷を最小限に抑えながら自然の懐に浸るエコツーリズムが静かな熱を帯びている。
奥日光の小田代原や戦場ヶ原を早朝に歩けば、朝霧が立ち込める木道で野鳥のさえずりだけが耳に届く。アスファルトの照り返しとは無縁の土と木の世界。自然保護官が厳格に管理する自然林の回廊は、都市で摩耗した五感をゆっくりと解きほぐしてくれる。観光地をただ「消費」するのではなく、自然の循環に身を浸す贅沢がそこにはある。