箸の持ち方を根本から見直すなら、毎日使う道具そのものにこだわってみるのも近道だ。福井県小浜市で受け継がれる伝統工芸品「若狭塗」の箸は、その卓越した手触りとバランスの良さで知られる。貝殻や金銀箔を漆の中に塗り込め、丹念に研ぎ出すことで生まれる独特の風合いは、手にした瞬間にしっくりと指の腹へ吸い付く。
安価なプラスチック箸や滑りやすい割り箸では、どうしても指に余分な力が入り、変な握り癖がつきやすい。職人が一本ずつ重心を計算して削り出した良質な天然木の箸は、余計な握力を必要とせず、正しいフォームへと自然に指を導いてくれる。お気に入りの逸品を手に入れることは、美しい所作を長く維持するための最高の実践法だ。