平成のドラマ史を塗り替えてきた記録の数々は、今なお語り継がれる。最高視聴率を叩き出し、彼が着た服や演じた職業が社会現象となった時代。しかし、木村の真価は過去の栄光にすがりつかない姿勢にある。令和の現在、彼はかつての「キムタク」というパブリックイメージを恐れず、むしろそれを軽やかに乗りこなしながら、役者としての表現幅を爆発的に広げている。
白髪交じりの厳しい指導官役から、海外制作の本格サスペンス、泥臭い人間味あふれるキャラクターまで、近年の役柄は実に多彩だ。かつて「何をやってもキムタク」と揶揄された時期もあった。しかし今や、その圧倒的な個性を劇中の人物と同化させる域に達している。「キムタク」という強い存在感を消すのではなく、存在感そのものを作品のエンジンとして機能させる手法は、長年のキャリアと年齢の積み重ねが生んだ唯一無二の技と言える。