スマートフォンや家庭の4Kモニターで瞬時に映画が観られる時代だからこそ、かつて提供されていた「映画館で映画を観る」という体験の価値が逆説的に浮き彫りになっている。見知らぬ他者と同じ暗闇の中で息を呑み、笑い、涙を流す。その共創的な空間体験が、Z世代を中心とする若い層の間で再評価されているのだ。
福岡市内のミニシアターやコミュニティシネマでは、大洋のスピリットを受け継ぐ単発の上映イベントが急増している。「暗闇の贅沢」を求めて劇場に足を運ぶ人々が増加傾向にあるのは、かつてあの場所が遺した情熱の種が、確かに次世代の土壌で芽吹いていることの証にほかならない。