乱用者の顔面を特徴づけるもう一つの決定的な要因が、慢性的な皮膚損傷である。覚醒剤の中毒症状として知られる「幻覚性皮膚感覚(フォームケーション)」、通称「メス・バグズ(Meth Mites)」だ。これは「皮膚の下を虫が這い回っている」「ダニが刺している」という強烈な体感幻覚であり、乱用者は自らの爪や尖った道具で皮膚を強く掻きむしってしまう。
さらに覚醒剤には強力な血管収縮作用があるため、皮膚末端への血液供給が途絶え、傷の修復機能が著しく低下する。その結果、顔全体に未治癒の潰瘍や黒ずんだ傷跡、化膿したニキビ状の炎症が治らず残り続け、肌の質感全体が土褐色かつガサガサとした異質なものへと変貌していく。