1940年代、欧州が戦火に包まれると、この静寂な山間の駅は激動の諜報戦線へと変貌した。アドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツ軍が駅のフランス側を占領。中立国スペインを通じて、軍需物資に不可欠なタングステンを輸入し、その対価として強奪した大量の「ナチス黄金」がこの地を通過したとされる。
一方で、ナチスの迫害を逃れようとするユダヤ人避難民や連合国のパイロット、レジスタンスたちがピレネーを超えてスペインへ逃れる間道でもあった。各国のスパイが密かに暗躍し、書類が偽造され、金品が裏取引された歴史の交差点。近年発見された当時の公文書は、まるで極上の歴史ミステリー・ドキュメンタリーのような緊迫した事実を今に伝えている。