ストリートの局所的な動きだったパルクールを一躍世界規模へと押し上げたのは、映画や動画メディアの爆発的な浸透だ。ダヴィド・ベル本人が主演を務めた映画『アルティメット』(2004年)は、CGやワイヤーに頼らない壮絶なアクションを披露し、世界中に大きな衝撃を与えた。
時を同じくして、ダヴィドの盟友であったセバスチャン・フォーカン(Sébastien Foucan)は、自己表現やアクロバティックな翻転を取り入れたフリーランニングを提唱。彼が映画『007 カジノ・ロワイヤル』(2006年)の冒頭で見せた建設現場での息をのむチェイスシーンは、アクション映画の歴史を塗り替えた。
その後、YouTubeの誕生により若者たちが自らのパフォーマンスを世界へ発信し始めると、エクストリームスポーツ業界の視線は一気にパルクールへ注がれた。近年ではNetflix制作のリアリティ番組やドキュメンタリーでも頻繁に取り上げられ、かつてストリートのアングラカルチャーだった運動はエンターテインメントの表舞台へと躍り出た。