坐骨神経痛とストレスの関係を巡っては、インターネット上で極端な情報が一人歩きしているケースが見受けられます。典型的な誤解を是正しておきます。
代表的な誤解が「安静にしていれば治る」という神話です。かつては痛みが引くまでベッドで安静にする指示が出されることもありましたが、長引く坐骨神経痛において過度の安静は完全に逆効果であることが医学界の定説となっています。動かないことで筋肉の血流はさらに悪化し、活動制限による孤立感や抑うつ気分が痛みの閾値を一段と引き下げてしまうためです。
また、「ストレスさえ取り除けば、骨の異常があっても手術なしで治る」という過度な精神論も危険です。進行性の筋力低下(スリッパが脱げる、つま先立ちができない)や、排尿・排便障害を伴う「膀胱直腸障害」が出現している場合、これは馬尾神経が物理的に深刻な圧迫を受けている緊急事態(レッドフラッグ)であり、直ちに外科的処置を要します。ストレスを言い訳にして危険な兆候を見逃してはなりません。